2万8千年後 ~ケンタウルス座アルファ~

日本からはなかなか見ることができない星のひとつ、ケンタウルス座アルファ半人半馬のケンタウルス座の前足に輝く星です。

ケンタウルス座アルファ

ケンタウルス座アルファ

固有名はリギルケンタウルス。太陽系から4.4光年、一番近い星としても知られています。

この星は三重星で、それぞれケンタウルス座アルファA、B、Cと名前がついています。AとBの距離は平均で太陽と天王星くらいで近いのですが、Cはずいぶんと離れてABペアとの距離が0.16光年以上もあります。1周には50万年ほどかかると考えられ、そして、Cは現在太陽系側にあるので、ケンタウルス座アルファA、Bよりも、太陽系に近い。そこで、「プロキシマ・ケンタウリ」と呼ばれています。「プロキシマ」とは、「一番近い」という意味です。

このケンタウルス座アルファ星系は、太陽系に近い星。ということは、その分動きも早いはず、さっそく動きを調べてみましょう。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペクトル距離
(光年)
71683α1 Cen14h39.7m-60°50’リギルケンタウルスケンタウルスの足前の右足の端の星-0.014.34G2V4.39
71681α2 Cen14h39.7m-60°50’   1.355.70K1V4.39
70890 14h29.8m-62°41’プロキシマ最も近い 11.0115.45M5Ve 4.22
データ出典: バイエル符号・等級・スペクトル・距離 Hipparcos 星表  絶対等級・独自計算  固有名・意味 星座の神話  アルマゲスト名 アルマゲスト
ケンタウルス座アルファ

ケンタウルス座アルファ

上の図を見ていただくと分かりますが、この星の動きは本当に早い。20万年で、天球を半分移動してしまいます。今から10万年前には、ぼうえんきょう座に3等星として見えています。距離は14光年。同じ10万年前には、おおいぬ座シリウスが太陽系から12光年のところにあって、明るさはー0.6等星。絶対等級3等星の差が、この明るさの違いというわけです。

シリウスよりも暗い星とは言っても距離が近づけば明るくなり、5万年前頃には1等星、太陽系に近づくにつれて星空の中の動きも早くなっていきます。
プトレマイオスアルマゲストを作った2千年前には、今の位置から4度ほど東側にあり、ケンタウルスは前足をぐっと開いて、おおかみを槍で刺していたのですね。

究極の二重星?

もちろん現在も、1年あたり角度の7秒ほどの速度で移動をしていて、今から4千年後の西暦6000年頃には、隣のハダルと0.5度弱まで接近します。

リギルケンタウルスとハダル

リギルケンタウルスとハダル

満月1つ分隔てて、-0.2等星で黄色いアルファ・リギルケンタウルスと、0.6等で青白いハダルが輝く、明るさも色もすばらしい二重星になるでしょう。望遠鏡で見る、はくちょう座の二重星アルビレオや、アンドロメダ座の二重星アルマクのような、色のきれいな二重星を肉眼で見られるようになるのです。
今、生きている人には見ることができない、という意味では4千年後も100万年後も一緒ですが、この話題での4千年は、本当にすぐ先の未来といった感じです。

ちなみに、ハダルは、太陽系から525光年離れており、数千年単位では、その位置はほとんど変わりません。

最接近

ハダルから離れて、さらに2万年とちょっと、現在からは2万8千年後、ケンタウルス座アルファは太陽系に3.2光年まで接近をします。そのときの明るさはー0.7等星、うみへび座の南、ポンプ座の、明るい星が少ないところで光っているでしょう。その1000年ほど前には、プロキシマが0.1光年近い、3.1光年まで接近をしますが、この星の絶対等級は15等星、3光年まで近づいても10等星にしかならず、肉眼で見ることはできません。

その後は、うみへびの身体をなぞるように進み、4万年後には、うみへびの心臓の星「コルヒドラ」のそばを通過して、10万年後にはふたご座の頭の上辺りに2等星で輝くでしょう。9つの首を持つうみへびは一時期、元々の心臓の星「コルヒドラ」と、この星とでダブルハートとなるので、未来のヘルクレスは苦労をしそうですね。