こと座

琴の名人オルフェウスが持っていたという琴。ハープの原型といいます。

こと星図

こと座

名称星座名こと
略号Lyr
学名Lyra
所有格Lyrae
英語名the Lyre
設定者プトレマイオス
概略位置赤径18h45m
赤緯36°
面積286
季節
南中8月下旬
星数1等1
2等0
3等2
4等6
5等15
6等47
変光星639
データ出典:
 星座名・概略位置・星数:天文年鑑2009
 名称(星座名を除く):IAU Webサイト
こと座は、さそり座と並んで夏を代表する星座です。夏の遅い夕暮れ、そのころの空では一番明るいヴェガが頭上高く白い光を放つのを見ると、どこからともなくお祭りの音が聞こえてきそうな、森のにおい、草のにおいがするような、そんな気がします。

こと座の1等星はヴェガ、うしかい座アルクトゥールスぎょしゃ座カペラと並んで、天頂高くに輝く明るい星です。前のふたつが暖色系なのに対し、ヴェガは白い輝きで、おりひめぼしということもあいまって女性的なイメージです。ヴェガのすぐ東隣にεとζ、ζからβ、γ、δと平行四辺形を作ると、琴の弦の部分。

この琴、もともとはヘルメスが亀の甲羅と牛の腸で作ったというもの。腸と書くと「えっ?」と思われそうですが、要はガット弦なのですね。とてもよい音色で、音楽の神アポロンが譲り受け、それを息子のオルフェウスに与えます。オルフェウスはアポロンから琴を習い、それを見事に弾きこなしました。オルフェウスが琴を弾くと、獣もその音色に耳を傾けたといいます。

オルフェウスにはエウリディケという美しい奥さんがいましたが、蛇に咬まれ死んでしまいます。オルフェウスは生き返らそうと死者の国へ行き、琴を奏でながらハデスにお願いをしますが、このときにオルフェウスを助けてくれたのは、おとめ座のお話で出てきたペルセポネ。オルフェウスの琴の音に心を動かされ、エウリディケを返すようハデスに頼みます。

ハデスは、地上に戻るまで後ろを振り返らないのなら、という約束で、エウリディケを地上に返しますが、あと一歩というところで、オルフェウスはつい後ろを振り返っていまい、エウリディケは死者の国へ連れ戻されてしまいました。それ以来、オルフェウスは女性を遠ざけ、そのことが元で女性たちに恨みを買い、殺されてしまいます。残された琴は天に昇り星座になりました。

こと座の伝説は東洋、西洋ともに悲しい恋のお話です。

リング星雲とダブルダブルスター

こと座には、有名な「リング星雲」M57があります。これは、星が終焉を迎えた姿。構成していたガスが回りに広がり、中心の星の光を受けて光って見えています。こういった星雲を、望遠鏡で見た惑星に似ているところから「惑星状星雲」と呼んでいます。M57は、惑星状星雲の中では明るいものですが、都会の空では、大き目の望遠鏡を使わないと見ることはできません。
写真では、虹色に輝いているものなどもありますが、望遠鏡では、小さな白いビーズのような姿が見えます。

ダブルダブルスター

ダブルダブルスター

ヴェガのすぐそばにあるεという星は、肉眼二重星、とても目のいい人にはふたつに分かれて見えますが、実はそのそれぞれが二重星になっています。「ダブルダブルスター」と呼ばれ、双眼鏡では2つに、大き目の望遠鏡では4つに見ることができます。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペクトル距離
(光年)
91262α Lyr18h36.9m38°47’ヴェガ落ちるわし耳にあるリラと呼ばれる星0.030.58A0Vvar25.3
92420β Lyr18h50.1m33°22’シェリアク横木にある西の2星の北星3.52-3.64A8:V comp SB881
93194γ Lyr18h58.9m32°41’スラファト横木にある東の2星の北星3.25-3.20B9III634
92728δ Lyr18h53.7m36°58’   5.58-2.02B2.5V1080
91919ε Lyr18h44.3m39°40’  これ(α)にごく近い2星の北星4.671.19F1V162
データ出典: バイエル符号・等級・スペクトル・距離 Hipparcos 星表  絶対等級・独自計算  固有名・意味 星座の神話  アルマゲスト名 アルマゲスト

こと座βは変光星、明るさの変わる星です。この星は、ふたつの星が互いを回る「連星」 お互いを隠すことで明るさが変わる「食変光星」のひとつです。こと座βは、2つの星がとても接近しているために、互いの重力でラグビーボールのような形に伸びてしまっていると考えられています。そのため、明るさの変化が連続的に起こり、他の食変光星のように、はっきりと食の開始、終了が分からない光度変化をしています。