かに座

とても友達思いのカニ。ずっと空にいるせいか、泡を吹いています。

かに星図

かに座

名称星座名かに
略号Cnc
学名Cancer
所有格Cancri
英語名the Crab
設定者プトレマイオス
概略位置赤径8h30m
赤緯20°
面積506
季節
南中3月下旬
星数1等0
2等0
3等2
4等10
5等23
6等94
変光星235
データ出典:
 星座名・概略位置・星数:天文年鑑2009
 名称(星座名を除く):IAU Webサイト
天の川が見えるようなきれいな空で、ふたご座の2つ星、カストルとポルックスと、しし座レグルスの間に注目してみてください。明るい星はありませんが、4等星と5等星でつくる小さな四角形が見つかれば、それが「かに」の甲羅。その上下に足の星が3つ見つかります。都会の空では見つけるのが難しい、星占い星座のひとつです。都会では、むしろ足の星の3角形を探したほうがいいかもしれません。

神話では、ヘルクレスの12の冒険の2つめ、レルネの沼のヒドラ退治で、うみへび座のヒドラとヘルクレスが戦っているとき、ヒドラの劣勢を見てヘルクレスの足を切らんと出て行った「かに」と言われます。この、ヘルクレスの12の冒険は、元をたどれば彼が女神ヘラの呪いを受けたために行うことになりましたが、ヒドラとの戦いを見ていた女神ヘラがヘルクレスを苦しめようと、このかにを遣わせたそう。ただ、残念ながらこのかにはあまり強くなく、出て行ったもののすぐに甲羅を踏み潰されてしまいました。
プラネタリウムの投影のときは「わが身を省みず友を助けた勇敢なかに、かに座生まれの人は友達思いの人なのかもしれませんね」と紹介したものです。

プレセペ星団

天の川が見えるようなきれいな空では、かにの甲羅の中にぼおっとした雲のようなものが見えます。踏み潰されたからか、ずっと空に上がっているからか、かにが吹いた泡のようにも見えます。これは、プレセペと呼ばれる散開星団。双眼鏡で見ると、ぱらぱらと星が散って美しい眺めを楽しむことができます。

プレセペ星団は、古くから注目されていた天体で、古代ギリシャでは「小さな雲」と呼んでいましたし、中国では魂の昇っていくところと言われていました。これが星の集まりだと初めて紹介したのはかのガリレオ・ガリレイ。ガリレオは1610年に自作の望遠鏡でプレセペも観察し、たくさんの星の集まりだということを「星界の報告」に著しています。

さらに(もっと驚いたことには)、これまで天文学者から星雲とよばれてきた星もまた、異常な仕方でまき散らされた小さな星の集団である。星の一つひとつは、光が弱いためか、私たちからずっと遠く離れているために、眼にみえない。
(星界の報告 山田慶児、谷泰訳 岩波文庫 P41)

かに座は星占いの星座、プレセペのすぐ南を太陽の通り道、黄道が通っています。太陽が通っていく様子はさすがに見れませんが、惑星がプレセペに接近、通過していく様子はたまに見ることができます。

現在では、プレセペの年齢や移動する速度も分かっていて、今から7億年ほど前に生まれ、動いていく方向や速度が、おうし座のヒアデス星団によく似ているそう。この星団とヒアデスは同じガス雲から生まれたのでは? という説もあります。同じガスから生まれたにしては距離が約500光年も離れていて、年齢も1億年ほど違うようですから、確実というわけではありません 1

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペクトル距離
(光年)
44066α Cnc08h58.5m11°51’アクベンスつめ南のはさみの星4.260.63A5m173
40526β Cnc08h16.5m09°11’アルタルフ(足の)先後の南側の脚の星3.53-1.22K4III290
42806γ Cnc08h43.3m21°28’アセレスボレアリス北の小さいロバろばとよばれる、四辺形の2東星の北星4.661.23A1IV158
42911δ Cnc08h44.7m18°09’アセレスアウストラリス南の小さいロバ(γ)2星の南星3.940.84K0III136
43103ι Cnc08h46.7m28°46’   4.03-0.77G8Iab:298
データ出典: バイエル符号・等級・スペクトル・距離 Hipparcos 星表  絶対等級・独自計算  固有名・意味 星座の神話  アルマゲスト名 アルマゲスト

かにの甲羅の四角形のうち、明るいガンマとデルタには、「ロバ」という名前がついています。かになのにロバ? 不思議ですが、これは、プレセペ星団をロバのえさを入れる桶、飼葉桶と見立てたからです。ギリシャ神話では、バッカスとヘファイストスのロバで、巨神族と戦ったときにいなないて敵を驚かしたとも、プレセペは聖書にあるキリスト誕生の飼葉桶で、付き添っていた二頭のロバとも言われます。