フォーマルハウト

秋には、1等星はひとつしかありません。秋の夜に、ぽつんと光っているフォーマルハウトを見つけると、季節的なものもありますが、周りに明るい星がないので寂しげに見えます。

恒星データ

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペクトル距離
(光年)
113368α PsA22h57.6m-29°37’フォーマルハウト南の魚の口南魚の口で注口にある最後の星1.171.74A3V25.1
データ出典: バイエル符号・等級・スペクトル・距離 Hipparcos 星表  絶対等級・独自計算  固有名・意味 星座の神話  アルマゲスト名 アルマゲスト

フォーマルハウトのお隣さん

寂しく見えるのもそれもそのはず、この星は、ほかの1等星との夜空での距離がいちばん離れている星のひとつです。これにいちばん近い1等星はエリダヌス座アケルナルで距離は39度06分。もっとも、アケルナルは九州南部以南に行かないと南の地平線から昇りませんから、日本で楽に見つけられる隣の1等星は夏の星座、わし座アルタイル、実に59度09分も離れています。

フォーマルハウトの隣の1等星のアケルナルも、いちばん近いお隣さんがフォーマルハウトで、この2星は寂しい1等星の遠く離れたペアになっています。意外なのはさそり座アンタレス、その隣の1等星はケンタウルス座アルファで、フォーマルハウトと同じく距離は39度06分、ケンタウルス座アルファも沖縄以南に行かないと見えませんから、日本で楽に見つけられる隣の1等星は春の星座、おとめ座スピカで45度54分。アンタレスが寂しく見えないのは、周りに2等星がいくつかあるからでしょうか。

フォーマルハウトの場合、隣にある2等星でもつる座ベータの17度30分、つる座は地平線に近いので見えづらく、見やすい最寄の2等星ではくじら座デネブカイトスで、26度47分も離れてしまいます。これは、北斗七星ひとつ分に当たり、フォーマルハウトの周りには、明るい星がまったくないことが数字にも表れています。

フォーマルハウト概要

フォーマルハウトと太 陽

フォーマルハウトと太 陽

夜空でのお隣さんは遠いフォーマルハウトですが、太陽系からの距離は25光年と比較的近距離にあります。近くにあるので明るく見える星のひとつで、1等星の中ではシリウスの次の明るさ、21個中17番目です。太陽との比較では、直径は約1.5倍、質量は約2.3倍、表面温度は約8500Kで約2000K高いと考えられています。

今、出てきたシリウス、この星とおおいぬ座のシリウスは似ています。絶対等級は、シリウスは1.45、この星は1.74で少し暗く、スペクトル型もシリウスのA0に対してA3Vですから、色も同じく白く見えます。
そして、シリウスには白色矮星の伴星がありますが、この星には、木星程度の質量の惑星が発見されています。

惑星のめぐる星

2008年に発表されたフォーマルハウトの周囲を回る惑星は「フォーマルハウトb」と呼ばれています。フォーマルハウトの周辺にはチリでできているであろう輪が発見されていましたが、その中心がフォーマルハウトの位置から10天文単位以上も離れているところから、惑星が存在し、その軌道の影響を受けているのだろうと予測されていました。

ハッブル宇宙望遠鏡を使った8年近い観測の結果、可視光で惑星が位置を変えている様子が捉えられ、太陽系外惑星の直接の発見となりました1。フォーマルハウトbは、大きく見積もっても木星の3倍程度の質量で、872年でフォーマルハウトを公転しています。フォーマルハウトは輝きだしてから2億年程度しか経過しておらず、この先10億年程度で白色矮星になってしまうと考えられています2ので、生命が発生するかどうかは分かりませんが、宇宙の中で惑星がありふれたものであるということを示しているようです。