星の色

私たちの目は、色を感じることができます。青空の下に広がる菜の花畑、緑の森、紅葉に染まる山、真っ白な雪景色。ご存知の通り、色が見えるのは、その「もの」から、その色の光が反射されているからですね。日中の太陽の光は白く感じますが、白い光の中にも、たくさんの色の光が含まれていることは、プリズムを通したり、夕立の後などに現れる虹を見たりすることで分かります。

ニュートンも「光学」のなかで、プリズムを通すことで、太陽の光にはいろいろな色が含まれることを実験しています1
まずニュートンは紙を赤と青に塗り、その紙を三角形のプリズムを通して見ることで、赤い部分と青い部分の浮き上がって見える見え方の違いから、色の異なる光は屈折の度合いも異なることを示しました。次に、プリズムに太陽の光を通すと、光はプリズムによって屈折して棒状の像となり、その像には赤、黄色、緑、青、菫と色が見られること、「色が異なれば屈折の度合いも異なる」ことから、太陽の光は「屈折の度合いの異なる光からなっている」ことを証明しました。

そこから進んで、いろいろなものの色は、そのものがどの光を多く反射しているかによって生じると記しています。たとえば、リンゴは赤い光をたくさん反射するので赤く見える、ブドウは紫の光をたくさん反射するので紫に見える。ただし、その反射光の中にも他の色の光が含まれていて「反射光の中でのその過剰と優性によってその色になる」 2 というわけです。

この考え方は現在でもそのまま通用し、色は光の波長の違い、赤い光は波長が長く、紫の光は波長が短いことから見え、その「もの」特有の色は、それがどの波長の光を一番強く反射しているか、最も反射量の多い光が、人間にそのものの色の知覚を起こさせるために見えるのです。

星の色

星にはいろいろな色がある

星にはいろいろな色がある

さて、そこで星の色のお話です。
「星にはいろいろな色がある」と、小学校で習います。確かに本当の空で、星をよく見ると、赤い星、白い星、黄色い星、いろいろな色があるようです。恒星の場合、太陽と同じように自分で光を放っていますから、光を反射しているわけではありません。けれども星の色は、物の色と同じように、その星がどの波長の光を一番強く放射しているか、によって見えています。赤く見える星は、赤く見える光をたくさん出しているから赤く見える。けれども、赤以外の色もきちんと出しています。

すべての物体は、熱を加えて高温になると光を放ちはじめます。キャンプや焼肉で調理に使う炭は赤々と輝いて見えますし、白熱電球は、この温度が上がると光を放つ性質を利用して、フィラメントを電気で熱することで光を出しています。物体の温度と、物体が放つ光の波長には関係があり、温度が低いと波長が長いものが多く放射され、温度が上がるにつれて波長が短いものが多くなり、放射される光の量も増えていきます。太陽の表面温度は6000度ほどと考えられていますが、その高温から、表面にある物質が光を放ち、それが私たちに届いているのです。

星の温度と放射する光との関係は、実験室で実験し計算で求めることができるものに非常に近く、星の光の波長のピークがどこにあるかが分かれば、その星の表面温度が計算できます。星が何色に見えるか、星の光のどの波長が一番多く出ているかで、星の表面温度が分かるわけですね。太陽の表面温度は6000度というのは、太陽から出ている光が6000度の物体から出る光と同じピークを持っているから、ということです。赤い星は3000度、青白い星は10000度というのも同じ。温度計を刺すことができない星の温度は、こうして測られています。

ところで、星にはいろいろな色がある、といっても、見えるのは白や赤、黄色い星。緑色の星はないのです。ちょっと不思議? 実験室で出す光も、赤、オレンジ、黄色、白、青白となり、緑にはなりません。どうしてなのでしょう? 太陽が放出している光で一番多いのは緑色の部分。それを白く見えるように、人間の目が進化してきたからでしょうか。詳しい方、ぜひお知らせください。

温度による色の変化。色はイメージで正確ではありません

温度による色の変化。色はイメージで正確ではありません

色指数

星の明るさ、のところで、ポグソンは星の明るさを定量的に表現することを可能にした、とお話しました。そうなると「星の色」も、定量的に表現したいところです。

このページの最初からお話していますが、赤く見える星の光の中にも、黄色い光や青い光が含まれています。それらよりも赤い光が一番多く放射されているので、赤い星に見えるわけですが、天文学者が「星の色」と言ったときは、星の光の中から2つ以上の色の光、たとえばその「青い光」と「黄色い光」の明るさを調べ、その差から「何色に近い」か表します。それを「色指数」と呼んでいます。こうすることで、その星の光の波長の分布が分かり、その星全体が放射しているエネルギーについても分かるのです。

現在、天文学で広く使われる、星の色を表す数字「色指数」は、「UBV」式というものです。これは、「UltraVioret=紫外」「Blue=青」「Visual=実視」のそれぞれの明るさの差で色を表すものです。
特に、「青」と「実視」の差「B-V」を色指数として「白く見える星」を0、青い星はマイナス、赤い星はプラスとして表しています。星の明るさは、数字が小さいほど明るくなりますから、青い星は、「B」の方が小さい数字となり、引き算するとマイナスになるのです。

スペクトル型ごとの明るさと色
スペクトル型 B-V U-V 実視絶対 等級
O5 -0.3 -1.1 -5.5
B0 -0.3 -1.1 -4
B5 -0.16 -0.56 -1
A0 0.0 0.0 0.5
A5 0.15 0.11 1.8
F0 0.33 0.03 2.4
F5 0.45 0.0 3.2
G0 0.60 0.12 4.4
G5 0.68 0.23 5.1
K0 0.81 0.46 5.9
K5 1.15 1.1 7.2
M0 1.4 1.2 8.7
M5 1.6 1.2 12

実際の星の「B-Vの色指数」は、-0.3から+1.6程度の範囲に入るということです。白から赤い星のほうが色の範囲が広いというわけですね。「U-B」では、必ずしもスペクトル型の順に色指数が並んでいません。これは、目で見たときと紫外線で見たときの星の明るさは同じではない、見る光によって星の明るさは違う、ということを示しています。

[恒星の世界 P13 理科年表 平成20年 天47 わかる!色彩検定2級ポイントレッスン P90-93]

  1. 光学 P43-52
  2. 光学 P171