おおぐま座運動星団

おおぐま座、という星座を知らない人も、北斗七星なら聞いたことがあるでしょう。

北斗七星の星の動き

北斗七星の星の動き

北の空に7つの星が作る大きなひしゃく、とても雄大な眺めです。北斗七星は北極星を探す目印としても知られますが、北極星を中心にして、ゆったりと空をめぐる様子が「クマ」を想像させたのでしょうか、星座はおおぐま座、アメリカインディアンたちもこの星々をクマと呼んでいたそうです。

現在はひしゃくの形に並ぶ星たちですが、何万年という長い時間が経てば、その形は崩れてしまいます(右図) 星座は現在の星の並びから作られたものですから、そんな長期間のことまでは考えられていません。やがては崩れる「ひしゃく」 そのうちの、両端の2つをのぞいた5つ、そのほかにもっと暗い周辺の星たちも含めて、それらはひとつのグループとして同じ向き、同じ速さで移動している、ということがわかっています。それだけではなく、年齢や構成している物質まで一緒で、この星たちは、今から5億年前ころに、同じガス雲でできたのだろうと考えられているのです。

生まれたばかりの星たちが集まっているものは「散開星団」と呼ばれていますが、これらの、おおぐま座のあたりの星たちは散開星団というには散らばりすぎていますので、同じ運動をしている星の集まりということで、「運動星団」 おおぐま座の星たちが多いので、「おおぐま座運動星団」と呼ばれています。散開星団のようにまとまって見えないけれども、同じ速度、同じ年齢、同じ構成物質で、同じガスから一緒に生まれたのであろう、とわかるグループに、この名前がつくのですね。

運動星団、という名前がついていますが、本質的には散開星団と一緒ですから、このおおぐま座運動星団は私たちに一番近い散開星団とも言えて、その距離は約80光年。半径30光年程度の範囲に、確実にメンバーと思われているのは十数個、ひょっとするとメンバーかもしれない、という星も含めると、200個近い星がリストアップされています 1。同じ星雲から生まれたか、おおぐま座運動星団と関係があるのかはまだ研究中のようですが、おおぐま座運動星団の外側半径100光年ほどにわたって、この星団と同じような固有運動を持つ星も多数見つかっています。

太陽系に一番近い散開星団ということで、おうし座のヒアデス星団とともに重要な研究対象です。

主なおおぐま座運動星団メンバー

Hipparcos
番号
バイ
エル
符号
赤径赤緯固有名
カタログ名
意味アルマゲスト名実視
等級
絶対
等級
スペクトル距離
(光年)
53910β UMa11h01.8m56°23’メラク股にある星2.340.41A1V79.4
58001γ UMa11h53.8m53°42’フェクダおおぐまのまた後の左股にある残りの星2.410.36A0V SB83.6
59774δ UMa12h15.4m57°02’メグレズつけ根尾の付け根にある星3.321.33A3Vvar81.4
62956ε UMa12h54.0m55°58’アリオト尾の付け根の後にある3星の最初1.76-0.21A0p80.9
65378ζ UMa13h23.9m54°56’ミザール腰ぬのその(ε)中央星2.230.33A2V78.1
65477 13h25.2m54°59’アルコルかすかなもの 3.992.01A5V SB81.1
51814 10h35.2m57°05’   5.163.05F1V86.2
61100 12h31.3m55°07’GJ 1160  8.086.20K2V77.4
61481 12h35.9m51°13’   8.526.42K085.6
61946 12h41.7m55°43’NN 3743  8.276.44K3V75.7
62512 12h48.7m60°19’ウォルフ9417  5.833.91F5V78.8
63503 13h00.7m56°22’   4.932.94F2V81.4
64532 13h13.6m56°42’グリーゼ503.2  6.824.77G1V83.8
データ出典: バイエル符号・等級・スペクトル・距離 Hipparcos 星表  絶対等級・独自計算  固有名・意味 星座の神話  アルマゲスト名 アルマゲスト

こういった運動星団は、おおぐま座のほかにも、かみのけ座、さそり-ケンタウルス座など、いくつか見つかっています。かみのけ座は星座全体が星団でできているようなもの。ちょうど太陽系とすれ違っているところで、前後方向ではなく、左右方向の移動が確認されています。真横に移動しているのです。

また、さそり-ケンタウルス運動星団は、太陽系から500光年ほど離れた、90度にわたって広がる大きな運動星団です。スペクトル型O、Bの青白いとても明るい星が多く、さそり座、ケンタウルス座、おおかみ座みなみじゅうじ座などの星座を作っている星のほとんどが、このグループに属しています。観測・研究が進んで、このグループはさらにいくつかの星のグループに分けられることが判明、散開星団と呼ぶには分布している範囲も広く星の数もはるかに多いので、散開星団の集まりといった、ひとつ上の銀河の構成要素、と、考えられています。